2020年、学習指導要領が改訂されて英語が教科化されることになりました。
これに対して、保護者の方からはさまざまな意見が飛び交っています。
「いったいどんな授業をするのか」
「小学校の先生は英語を教えられるの?」
「日本語の発達に影響があるのでは?」
などさまざまなことを懸念する声があります。
そこで、今回は,2020年に学習指導要領が改訂されて、英語が教科化されたあと、実際に小学校ではどのような授業がなされるかを見ていきます。
なお、この記事の内容は、以下の情報を参考に書いております。
■文部科学省HP「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~」
■知り合いの某有名大学で学会などにも数多く出席している准教授
では、見ていきましょう。
小学校で英語を教科化する目的は?
英語が教科化された授業ではどんな教育がなされるのでしょうか?
これはまだ実際に英語が教科化され、その授業が開始されていないため、「これだ!」と説明することはできません。
また学校によって、もっといえば先生によっても授業内容や形式は変わってくるため、一律の授業がなされるとは考えにくいです。
文部科学省は、小学校の英語教育の目標を現時点で以下のように掲げています。
中学年から外国語活動を開始し、音声に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う。
高学年では身近なことについて基本的な表現によって「聞く」「話す」に加え、積極的に「読む」「書く」の態度の育成を含めたコミュニケーション能力の基礎を養う。
そのため、学習に系統性を持たせるため教科として行うことが適当。 小学校の外国語教育に係る授業時数や位置付けなどは、今後、教育課程全体の議論の中で更に専門的に検討。
引用元:文部科学省HP「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~」
上記のように小学校の中学年(小3・4)、高学年(小5・6)で、目標を少し変えています。
では、ここから、小学校の中学年(小3・4)、高学年(小5・6)のそれぞれで
●どんな授業内容が考えられているか
●どんな授業形式が考えられるか
を見ていきましょう。
小学校中学年の英語の授業はどんなことをやるの?
2020年に学習指導要領が改訂されてから、小学校3・4年生では英語が「外国語活動」として始められます。
【外国語活動と教科化の違い】
「外国語活動」とは「英語の慣れ親しんだり、楽しんで学ぶこと」を目標とすることです。
「教科化」とは、「教科書ができて、国語や算数などのように成績がつくようになるかもしれない」ということです。
小学校3・4年生の英語の授業では、
「音声に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う。」
ということを目標にしています。
また、小学校中学年への外国語活動の導入は、英語学習に対する動機付けや、聞き取り、発音の向上に効果があると考えらています。
なぜなら小学校中学年の児童の発達段階を踏まえると音声を中心に体験的に理解を深めることは、高学年よりも、適しているとされているからです。
そのため、小学校3・4年生の英語の授業では、英語のミュージックやDVD、音声などを活用して、それを耳で聞きながら、真似してみたり、リズムに乗ってみたり、同じように発音してみたりなどする授業になると考えられます。
授業のコマ数は、週1~2回とされています。
小学校中学年の英語の授業はどんなことをやるの?
教科化となると、教科書などが用意されたり、成績がついたりなどの可能性がでてきます。
小学生高学年の英語の授業では、以下のことが目標として設定されています。
「身近なことについて基本的な表現によって『聞く』『話す』に加え、積極的に『読む』『書く』の態度の育成を含めたコミュニケーション能力の基礎を養う。」
引用元:文部科学省HP「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~」
また、小学校高学年では、現在、中学校で学ばれている内容を単に前倒しするのではなく、小学校の発達段階に応じて、積極的に英語を「読もう!」「書こう!」とする態度の育成を含めた初歩的な英語の能力を養う指導がされる予定になっています。
授業時間は年間70単位時間、週2コマ相当を確保し、モジュール学習も活用しながら、週3コマ程度を確保することが示されている。
※モジュール学習とは、10分、15分などの時間を単位として取り組む学習形態。
英語は担任の先生とALTのどちらが教えるの?
小学校の英語教育の導入においてみなさんが不安に感じている「先生」「教員」については、文部科学省は以下のように説明(一部抜粋)しています。
・小学校の中学年では、主に学級担任がALT等とのティーム・ティーチングも活用しながら指導
・高学年では、学級担任が英語の指導力に関する専門性を高めて指導する。
・2019(平成31)年度までに、すべての小学校でALTを確保できる条件を整備。
・小学校教員が自信を持って専科指導に当たることが可能となるよう、中学校英語免許状取得を促進。
・現職教員への研修は、教育委員会と大学・外部専門機関等との連携体制を構築し、継続的な現職研修や養成カリキュラムの開発・実施につなげ改善・充実。
引用元:文部科学省HP「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~」
文部科学省の説明によれば、小学生中学年(小3・4)はALT、つまり外国人講師が教え、高学年(小5・6)は担任の先生が指導するとなっています。
担任の先生に指導する力があるかどうかについては正直不安ですが…。
また、小学校教員を目指す人に、中学校の英語の教員免許をとることを促進したり、大学などのカリキュラムにおいて英語を強化する要素を加えたりなどすると説明されています。
ただし、これもどの程度まで改善されるかは正直なんとも言えませんね…。
また、今現在すでに小学校の先生になっている人には、教育委員会や大学などが協力し、研修などをしていくとのことです。
どれもうまくいけば良いですが、実際のところ教員の質というものはとても重要な点になってきますね。
私自身、某大学の教育学部に属しておりましたが、世間的に評価の高い大学の教育学部生であっても英語の能力などは疑うことがあります…。
評価方法はどうするの?
小学校中学年では、外国語学習の初期段階であり、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成に重点を置いて、発達段階を踏まえた具体的な学習評価の在り方を検討すると言われています。
高学年では、教科として位置付けるに当たり、英語の特性と高学年の発達段階を踏まえながら、文章(書く力)による評価や数値等による評価など、評価方法については今までの事例を踏まえて研究すると言われております。
また、小学校高学年では、外国語学習の初期段階であることを踏まえ、語彙や文法等の知識の量ではなく、パフォーマンス評価等を通して、以下の項目を評価すると言われています。
・言語や文化に関する気付き
・コミュニケーションへの関心・意欲
・積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度
・「聞くこと」「話すこと」などの技能
【パフォーマンス評価】
知識やスキルを使いこなす(活用・応用・総合する)ことを求めるような評価方法(問題や課題)であり、さまざまな学習活動の部分的な評価や実技の評価をするという複雑なものまでを含んでいます。
また、筆記と実演を組み合わせたプロジェクトを通じて評価を行うことを指す場合もあります。
参考:文部科学省「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会」
中学受験生にも英語を課すの?
中学校における入学者選抜に外国語を課すことは望ましくないとの指摘が出ているようです
今後、小学校における外国語学習の趣旨を踏まえ、学習者に過度の負担とならないように十分に配慮して検討することが必要であるとされていますが、具体的な対策や方針などはまだ出ていないようです。
教科書や教材はどんなものが使われるの?
文部科学省の公式HPでは以下のように説明されており、具体的な教科書はまだ決定されていない状態です。
小学校中学年では、発達段階に応じた外国語活動に必要な教材を開発する。
小学校高学年では、教科化に伴って、教科書の整備が必要となるが、教科書が整備されるまでの間、国において、新たな教材を開発・検証・配布する必要がある。
小学校の高学年では、中学年での外国語活動を継承し、また、中学校での学習への円滑な接続を踏まえながら、アルファベット文字の認識、日本語と英語の音声の違いやそれぞれの特徴、語順等への気付きを促す指導に有効な教科書等の教材が必要である。
引用元:文部科学省HP「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~」
また、タブレット、PC、電子黒板、テレビ会議システム等などICT教育についても導入される予定です。
ただ、環境整備の準備などが必要になるため、この点に関してもまだ明確な決定はない状態です…。
さいごに
ここまでが文部科学省が発表していることや、学会に出席している某准教授がおっしゃっていることをまとめものです。
まだまだ不安要素がたくさんあるのが正直な感想です…。
私自身は、学校の英語教育について過度な期待をしないほうが良いと思っています。
(もしかしたら、多くの方がすでに期待など持っていないかもしれませんが…)
ただ、グローバル化が急速に進む中、たしかに現代の子どもやこれから小学校に入学する子どもに英語は必須です。
そのため、小学校の中学年くらいから徐々に触れさせることは必要だと思います。
しかし、これもただ英語をやらせればいいというわけではないですが…。
また、2020年の大学入試改革でも、大きく英語の試験の形式が変更されます。
そのため、この大学入試改革にしっかりと備えて、今からお子さんの英語力を鍛える必要があります。
そのため、将来しっかりと子どもの力になる英語力を身につけたい方は以下の記事も必ずいっしょにお読みください!
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